許さない

 「許す」「許さない」「許せない」は蠧毒である。口にする度に心を蝕む。

誰が許すのか。誰が許せるのか。許す力、許せる力をもつ人間がいるとは思えない。いもしない人間であると己を錯覚するのが蹉跌の始まりである。ありもしない我に執着し、虚妄が凝り固まる基である。凝り固まった虚妄である我は世界を歪んだ目で眺め、世界を歪め、我を歪め、ますます心をどす黒く染めていく。脳味噌に糞を刷り込み、心を腐敗させてゆく。

関係性を構築するところに世界とその錯覚、歪みが生じる以上は、せめて関係性を歪め、誤るようなことばや見方を控えるべきである。それだけでも心の汚染は防げるだろうし、脳糞で思考する可能性は小さくなるだろうし、どうしても湧いて出る我もそれほど厄介ごとの種にならずに済むだろう。

ますます許せない人が増えている、許せない御時世にはちょっとした修行、もしくは苦行かも知れない。簡単なのに。

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